山脇巌

山脇巌(1898–1987)は、日本にモダニズム・デザインの理念を導入した先駆的な人物。建築家であり、写真家としても活動し、日本の現代デザイン教育の基盤を築き、機能性と人間中心のデザイン思想の普及に大きく貢献した。

1930年から1932年にかけて、ドイツのバウハウスに留学。バウハウスは、モダンアート、建築、デザインの国際的な拠点として知られ、山脇はその理念である、簡潔さ、実用性、形と機能の調和を学んだ。ナチス政権の台頭により学校が閉鎖され、山脇の留学は途中で終わった。

帰国後は、バウハウスで得た知見を自身の創作と教育に活かした。1939年のニューヨーク万国博覧会では、日本の「屋根付き広場(カバード・スペース)」のデザインチームの一員として、日本の建築とデザインの国際的な発信に関わった。この構造は、日本が当時、現代建築や国際的なデザイン潮流と積極的に関わっていたことを示している。

教育者としての活動も重要で、自由学園、武蔵野美術大学、日本大学などで教鞭をとり、次世代の建築家やデザイナーの育成に大きな影響を与えた。

山脇の遺産は、日本の現代デザイン文化の中に息づき、バウハウスの理念は今なお世界に影響を及ぼし続けている。

参考文献

  • バウハウス・アーカイブ・デザイン博物館編『バウハウス 1919–1933:モダニティのための工房』ベルリン:バウハウス・アーカイブ、2009年。
  • 日本デザイン振興会編『バウハウスと日本:日本のモダンデザインと建築に関する研究』東京:日本デザイン振興会、1994年。
  • 菊池裕子『日本の近代化と民芸理論:文化ナショナリズムと東洋的オリエンタリズム』ロンドン:ラウトレッジカーズン、2004年。
  • 山脇巌『バウハウスで学んだこと』東京:鹿島出版会、1983年
Subject:
Yamawaki, Iwao
Year:
1898–1987