ヒロシマ会:平和の声

ニューヨーク・ヒロシマ会は、約四十年にわたり、記憶を継承し、平和を育み、広島に縁を持つ人々の世代をつなぐ重要な地域組織として活動を続けてきた。1988年8月、ニューヨーク大都市圏に暮らす広島出身者やその子孫を中心としたボランティアによる親睦会として設立された同会は、やがて「広島の教訓を生かし、より平和な世界をめざす」という揺るぎない使命を掲げる平和団体へと発展した。世界各地に広がる広島県人会ネットワークとは異なり、ニューヨーク・ヒロシマ会は会費や制度的支援を持たない、完全にボランティアの手による独自の地域的取り組みとして築かれた。

同会の中心的な活動は、毎年8月5日と8日にニューヨーク市で行われる「広島・長崎平和記念式典」である。三十年以上にわたって続けられてきたこの式典は、被爆者、子孫、市民指導者、一般参加者を結びつけ、原爆の惨禍を記憶するとともに平和への誓いを新たにする場となっている。2025年の式典は、中垣顕実法師による広島からのライブ配信と、中村美子の調整によるZoom中継を通じて行われ、霊的な深みと宗教間・地域社会を超えた広がりを兼ね備えた伝統を受け継いだ。また、国際的にも注目を集め、ロイター通信が報道するなど、米国における最も長く続く市民主導の広島・長崎追悼行事の一つとしてその意義が強調された。

創設期から今日に至るまで、ニューヨーク・ヒロシマ会を支えてきたのは、会員の献身である。創設メンバーの一人である古本武氏は現在も名誉会長を務め、継続の精神を体現している。仏教僧でありNY平和ファウンデーションの創設者でもある中垣顕実法師は1994年以来、式典を導いてきた。現会長の竹内道恵氏は、被爆後の救護活動を主導した広島赤十字病院初代院長・竹内謙博士の孫であり、『ヒロシマからの誓い』のプロデューサー兼共同脚本者でもある。このドキュメンタリーは、活動家としての生涯を捧げ、2017年にICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)のノーベル平和賞受賞に大きく貢献したスルー・セツコの人生を描いている。竹内氏の指導のもと、ヒロシマ会の活動は追悼の場を越えて国際的な平和提唱へと広がり、国連での平和活動とも緊密に連携してきた。その他にも、天野マイク氏が2010年以来事務総長・マネージャーとして会員管理と広報を担い、中村美子氏が式典運営と宗教間プログラムを支援、末永潤氏が被爆者やその家族とのつながりを築き、大岡エリザベス氏が市民参加と国際メディア発信を強化している。

ニューヨーク・ヒロシマ会は、文化的・地域的な活動でも知られる。毎年ニューヨーク市で開催されるジャパン・パレードに参加し、日本文化を祝うと同時に広島の記憶を広く社会に伝えている。また、長崎県人会ニューヨーク支部と共催する夏の恒例行事「納涼会」では、お好み焼きをはじめとした料理を囲み、交流と親睦を深めてきた。

その歩みは、広く文化的記憶とも交錯する。作家チャールズ・ペレグリーノは初期の追悼式典に参加したことを契機に、後に『ゴースト・オブ・ヒロシマ』を著した。この書は広島と長崎の両方で被爆した山口彊の物語を描き、ペレグリーノ自身も山口を訪ねている。2025年に出版された同書はすでにジェームズ・キャメロン監督によって映画化が企画され、広島の物語を新たな世界的観衆に届けることとなった。

およそ四十年にわたり、ニューヨーク・ヒロシマ会はボランティアの力と「広島の記憶を風化させない」という信念のみで歩みを続けてきた。追悼式典、文化活動、国際的提言を通じて、記憶を行動に転じる場を創り出し、ニューヨークの日系社会を世界的な平和運動と結びつけている。

インターフェイス(超宗教)平和の集い

― 広島・長崎原爆犠牲者追悼法要と平和祈念式典 ―

ニューヨークで30年以上続く平和行事。原爆投下の時刻に合わせて平和の鐘を鳴らし、黙想を行う。その前後には諸宗教のリーダーによる祈り、音楽、基調講演、原爆関連展示、ピース・ウォークなどを実施し、犠牲者を追悼し平和への思いを共有してきた。

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音声ファイル:原田真二「青くきれいな星のために」
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中垣顕実法師による閉会の祈りと挨拶(動画)
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Subject:
Hiroshima-Kai
Year:
1985
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